なんだかちっとも怖くないのだ。
私が強くなったのか、年をとったからなのか、その両方を兼ねているからなのか、それでもクロアチアはとても懐かしいのだ。
10日間のインテンシブなワークショップの間も、仲良くなって話し始めるのはクロアチアの人。
エネッサが言った。
「カリフォルニアへ行ったことがあるの。とってもビックリしたのは、皆が笑いかけながら”元気?”って聞いてくる事。初めて会って、好きかどうかもわからないのになぜ笑うの?そして私が元気かどうかを何故言わなくちゃいけないの?」
思わず笑ってしまった。
クロアチアが私にとって楽なのは、笑わなくていいという許可を得た気になるから。もちろん、笑ってもいい。でも笑わなくてもいい。自分の気持ちに正直でも、誰も責めない感があること。
そして、顔が、ヨーロッパ系なんだけど、なんか懐かしいと思ったら、うちの母方の親戚の雰囲気に似てるんだな。ちょっと困ったような、拗ねたような、ツンとしたミックス。それは笑顔満面で姿勢正しいアメリカ系にはありえない体型、顔立ち、雰囲気。
トラムとバスを乗りこなし、交通費はかなりセーブできている。ここの公共交通機関は最高。
キヨスクで買うチケットは4クーナなら30分以内乗り放題。それを10枚たんいで買って、乗車時にパンチインするだけ。
そもそも空港に着いた時に迎えに来てもらったバンは25ユーロだった。3000円くらい。
帰りは空港行きのバス停が近かったので、バスで行くことに。。。
クーナを使い果たしてしまって、しかも最後のコーヒーを近所のカフェで飲んだので手持ちが30クーナ(500円くらい)を切っていた。
足りるかな。。。ドキドキしていた。
いざとなったらユーロで払わせてと交渉しよう。。。
バスに乗ると
英語の通じない運転手さん。
エアポート?エアポート?と言いながら手で翼を作り、運転手がうなづいた。
中には教会の尼さんものっていて、彼女が翼を作ってうなづいてくれた。
いくらだ?と
財布の中をぶちまけると、運転手さんは4クーナのチケットを2枚取って、これをパンチインしろ、と。
えーー!空港まで20キロ近くあるのに8クーナぶんだけ?
120円くらいだよ?
なんだかとってもドンブリ勘定なクロアチア。
そこも私と似ている。
ニコニコ笑う尼さんの斜め横に座る。
40分くらいで空港へ着く直前に、尼さんが指差して教えてくれた。
私はあと2枚余った公共交通機関の4クーナのチケットを尼さんに差し出すと、首を横に振ったが、腕を翼にするジェスチャーをしながら「私は帰るから」と伝えると、クロアチア語でお礼を言いながら笑って受け取ってくれた。
周りにいた人は微笑んでいた。
空港でチェックインしようと指定の場所(ブリティッシュエアウエイズ)へ行くと、ウチは提携してるだけだからクロアチアエアラインへ行け、と言われる。
言われた通りクロアチアエアラインへ行くと、さっきのところを指差されてあっちだ、と言われた。
こういう時、時間があると自分に余裕があるので、笑いながら
「だって、あっちから回されてきたのよ。どっちが正しいの?」と聞くと
「僕のいうことがあっている。ヤツらが間違ってる」という答え。
爆笑しながら
「いいわあ、クロアチア!」
とカウンターを一旦後にした。
ああ、ヤバい。
私はクロアチアに恋してるかもしれない。